還元率は今や横並び
資産を築きたい人や節約を追求したい人にとって、クレジットカードの選び方は重要な位置を占めるものでした。還元率の高いクレジットカードで決済するだけで、現金では得られないポイント還元が労せずに得られたのですから当然です。そのため、少しでも高い還元率のカードを探して次々乗り換えていくのが王道でした。しかしながら、最近はその様相が少し変わってきています。
少し前までは還元率が1%を大きく超え2%に迫るようなクレジットカードも多数見られました。その還元率が改悪されたとしても、代替となるカードがすぐに見つかったものです。ところが、昨今はこうした高還元カードの改悪が相次ぎ、高還元をうたうカードも還元率1%で横並びとなっています。より高い還元率が得られるのは経済圏の囲い込みのための特定のECサイトでの買い物くらいです (それすらも特定のサイト経由での買い物が条件の場合もあるので要注意です)。
差がつくのは還元ポイントの使い勝手
こうした状況では、もはや還元率はクレジットカード選びの基準となりません。還元率が1%に満たないカードは論外としても、還元率が1%のカードの中から他の視点を加えてカードを選ぶことになります。その際に重要なのが使い勝手です。
決済自体はメジャーな国際ブランド (VISA, Mastercard, JCB, American Express) であればどれでも大差なく、特定のお店で使えずに困ることもまずありません。一方で、還元の方法はカードによって大きな差があります。ここで使い勝手の悪い還元方法のカードを選んでしまうと大きな足かせとなります。
楽天カードやAmazon MastercardのようなECサイト発行のカードは、楽天ポイントやAmazonポイントのようなそのサイトのポイントで還元されるのが主流です。それらのサイトを頻繁に使う方であれば還元されたポイントを自然に消費できるため、手間がかかることもポイントを失効してしまうこともありません。
一方、Orico Card THE POINTやJCB CARD W、三井住友カードのように独自のポイントで還元される種類のカードは注意が必要です。ポイントをそのまま何かの支払いに充当できるわけではなく、別の決済用のポイントやギフトカードに変換する一手間がかかります。それでも自然に利用できるポイントに変換できるのならまだ良いのですが、ポイントを消費するために普段使わない割高なお店を利用しなくてはいけないとなると本末転倒です。
還元額の計算方法にも注意
もう一つ注意をしなければいけないのが、具体的な還元額の計算方法です。この計算には大きく二つの方法があります。
一つが毎月の合計利用金額に還元率を掛けて還元額を算出する方法です。この計算方法であれば少額の決済も無駄になることなく、ほぼ期待通りの還元が得られます。ただし、この場合でも切り捨ての単位には注意が必要です。多くのカードは100円未満を切り捨てますが、1,000円単位で切り捨てるカードも散見されます。
一方、決済ごとに還元額を計算するカードは要注意です。一般に端数は切捨てとなるため (まれに四捨五入の場合もあります)、少額の決済を頻繁に行う場合は塵も積もればで馬鹿にならないポイントが失われます。
これらの折衷型として、自社ECサイトは決済ごとに、その他は毎月の合計利用金額で還元額を算出する方法もあります。Amazon Mastercardがこのタイプですが、決済ごとの計算が端数切り上げのため少額決済が多いほど得となります。
まとめ
- 現在は高還元カードも還元率1%で横並び
- 還元されたポイントを自然に消費できるカード選びが重要
- 還元額の計算単位と端数の切り捨てに注意