終わらない論争
持ち家と賃貸というのはいつでも人気のあるトピックです。実家などに厄介になっている人を除けば誰でもどちらかを選択しているものであり、陣営を作りやすいのがその理由でしょう。その上、どちらかが圧倒的に有利となることはなく、前提条件の置き方ひとつで有利不利が入れ替わる程度の差しかない “終わらない論争” であることも、長く人気の続く話題である理由です。
大きな差の出ない理由
持ち家と賃貸に本質的な差が出ない理由は、どちらも自由市場で取引されているためです。持ち家や賃貸のどちらかが目に見えて有利であれば、他方を選ぶ人はいなくなります。両者は適当なところでバランスが取られているのです。もちろん、住宅ローンの金利負担 (裏を返すと現金で家を買える人が賃貸を選ぶ場合の資産運用益) や、賃貸の場合は大家が負担している各種税金や修繕費を含めての総額の話です。それらはいずれも持ち家の価格や賃貸の家賃に織り込まれています。
ところが、個々の物件や各人の事情まで考慮するとこのバランスは必ずしも完全なものではありません。各人の個別事情は価格に織り込まれていないため、往々にして歪みを引き起こします。この歪みを認識した上で持ち家と賃貸選択をすることで優位に立てます。
持ち家が有利になる条件
具体的な歪みとして、以下の条件に合致する人は、持ち家が有利となります。
- 生涯引っ越しをしない
- 迷惑な隣人に当たっても適切な対処ができる
- 持ち家を優遇する各種税制が利用できる
- 物件を見極める目があり、有利な取引ができる
- 住宅ローンを低利で借りられる属性であり、かつ持ち家以外にも有効な資産運用ができる
一方、これらの条件に合致しない人は、賃貸が有利です。無理に住む場所を固定し、どんな人が隣人になるか分からず、不利な物件を掴まされうるリスクをとるべきではありません。