カネグリ: アーリーリタイア (FIRE) 試算ツール
カネグリとは?
カネグリは、アーリーリタイアを目論む方の資産推移を予測し、金繰りの必要性を見極めるためツールです。細かな説明を読む前に、まずはすぐ下のツールを一度触っていただくのがわかりやすいかと思います。使い方は単純で、条件を入力したら [試算] ボタンを押すだけです。
カネグリ
以下の項目を設定後、[試算] ボタンを押してください。
現在の年齢
予想余命
現在の資産総額
現在の年間支出額
資産配分
資産運用以外の収入・支出
カネグリの特徴
アーリーリタイア向けにはさまざまなシミュレータが提供されれていますが、それらと比較して以下の特徴があります。
- 株式や債券の利回りの変動を考慮した試算
- 日本円で生活する人向けに、為替変動を考慮した試算
- モンテカルロ法により、確率的な分布を把握可能
すなわち、 好景気や停滞期などさまざまなパターンを含む過去の株式や債券の利回りからランダムに選択し、資産額がどのように変化するかをシミュレーションします。初期条件が同じであっても、結果の資産額には大きく差が付きます。
少し細かい解説
モンテカルロ法
カネグリはモンテカルロ法を採用しています。これは、不確実な株式や債券の利回りが将来の試算へ与える影響を考慮するための手法です。複数回 (現在の設定では10,000回) の未来をシミュレーションし、資産が尽きずに生き延びる確率や資産総額の推移の分布を試算します。
シミュレーションの際の利回りは、過去の利回りデータから無作為に選択します。シミュレーションの各年において、過去のデータから無作為に年を選び、その年の利回り情報を用います。翌年もまた過去のデータから無作為に選択します。シミュレーション1年目に1990年が選択された場合でも、シミュレーション2年目に必ず1991年の利回りデータを用いるわけではなく、新たに無作為な年を選択します。また、毎年のシミュレーションにおいて、株式・債券・為替・インフレ率は必ず同じ年の情報を用います。シミュレーション中に1990年が選択された場合、株式・債券の利回り、為替レート変動、インフレ率のいずれも1990年のものを用います。
過去の利回りデータを用いる以上当然ではありますが、カネグリは、将来の株式や債券の利回りが過去と同等の水準であり続けることを仮定しています。この仮定が信頼できない場合は、カネグリを利用するべきではありません。
毎年の処理
内部的に、毎年以下の処理を行います。
- インフレ調整後の年間生活費を引き出す
- 予め定めた資産配分に沿ってリバランスを行う
- 資産運用による年間収益・損失 (インフレ調整は行わない) を加える
- 資産運用以外の年間収益・損失 (インフレ調整は行わない) を加える
- 資産総額を円建てで記録する
結果の読み方
- xパーセンタイルは、その年のシミュレーション結果の資産額を小さい順に並べた場合のxパーセント目にあたる資産額を示します。例えば、ある年の01percentileが10,000,000円となった場合、その年には1%の確率で資産額が10,000,000円以下となることを示します。また、50percentileがいわゆる中央値 (median) となります
- 資産がマイナスに転落した後のシミュレーションはあまり意味がありません。信用してはいけません
- 生存率は、その年に資産額が0円以上である確率を示します
資産運用の利回りデータ
利回りや為替レート変動は以下のデータを使用しています。いずれも、1971年から2022年のデータを抽出しています。
- 日本株式は日経平均への投資としています。Yahoo! FinanceのNikkei 225 (^N225) のhistorical dataを使用し、1月1日の adjusted close と翌年1月1日のadjusted closeの比率を利回りとしています
- 米国株式はS&P 500への投資としています。Yahoo! FinanceのS&P 500 (^GSPC) のhistorical dataを使用し、1月1日の adjusted close と翌年1月1日のadjusted closeの比率を利回りとしています
- 日本債券は変動金利型10年満期の個人向け国債としています。内閣府の年次経済財政報告中の長期経済統計にある国債流通利回りを使用し、前年 (データが末値のため) の数値に0.66を乗じたもの (ただし0.05%を下限とする) を利回りとしています
- 米国債券の利回りは、Damodaran On-lineのHistorical Returns on Stocks, Bonds and Bills – United Statesの3-month T.Bill (米国財務省3ヶ月物短期国債) を使用しています
- 現金は日米共に利回りなしとしています
- 為替レートは、MacrotrendsのDollar Yen Exchange Rateを使用し、年初のレートと翌年初のレートの比率をレート変動率としています
- インフレ率は政府統計の消費者物価指数 (総合指数) の前年比を使用しています
その他
- 課税は可能な限り先送りできると仮定し、毎年の生活費として取り崩して支出する分にのみ課税されるものとしています。すなわち、生活費を引き出す際に20%課税されるものとみなし、実際には生活費の25%増しの金額を引き出します。毎年のリバランスの際の課税や為替コストは考慮しません
- カネグリは、完全にローカルで動作します。入力した情報がサーバ側に送られることはありません
免責事項
カネグリは、重大なバグや誤りを含んでいる可能性があります。カネグリを使用したことにより何らかの損害が発生したとしても、一切責任を負いません。利用者の責任においてご利用ください。
更新履歴
- 2024.01.18
- 2022年までのデータを追加
- 2021.09.25
- 試算する度に条件をcookieに保存するように修正
- 2020.09.10
- 日本債権の利回りを修正
- 2020.09.01
- UIの修正
- 細かなバグ修正
- 2020.08.26
- インフレ率を固定値から政府統計の消費者物価指数の前年比へ変更
- 2020.08.24
- 資産運用以外の収入・支出を加えた試算をサポート
- 2020.08.14
- 初版リリース
実装予定の機能
将来的に以下の機能の実装を予定しています。概ね優先度順です。
- 利回りデータの改善
- より長期の過去データの利用
- REIT/J-REITのサポート
- モバイル対応の向上