価値あるマネー本の見つけ方

価値あるマネー本の見つけ方

書店にあふれるマネー本

大型書店に行くとマネー本の専門コーナーが設けられています。わざわざ専用のコーナーが設けられるほどですから、それなりに売れているジャンルなのでしょう。そこには、たった数年で何億円を設けたといった景気のいい話が著者の笑顔に包まれて平積みされています。どの本も、私と同じことをやれば同じくらい儲けられるとのメッセージを陰に陽に告げてきます。この光景を眺めていると、本を読んで実践するだけで簡単にお金持ちになれそうな気分になってきます。

このマネー本というジャンルは昔からあるものですが、最近特に拡大しているのは投資の裾野が広がったせいもあるのでしょう。また、ネット発のブロガーの手による本が増えているのも影響しているのかもしれません。

マネー本というジャンルが栄えるのは決して悪いことではありませんが、大量に出版されるドギツいタイトルの新刊のうち何冊が読む価値のある本であるのかを考えると心許ないものです。この粗製乱造とも言えるマネー本の出版状況の中で、本当に価値のある本を読むにはフィルタリングが重要です。

時の試練に耐えた本を読む

もっともシンプルかつ強力なフィルタリングは、古い本を選ぶことです。時の試練に耐えて何十年と読み継がれている本にはそれなりの含蓄があるものです。これはマネー本に限った話ではありませんが、根底となる理論や数学的な裏付けは古典の教科書に沿っていることが多いものです。最新の技術分野ですらそうなのですから、より息の長い投資の哲学や心理の分野では推して知るべしです。

翻って現在の新刊を眺めてみると、数十年後に読み継がれていると思える本はどれだけあるでしょうか。

エビデンスがある本を読む

もう一つの方法はエビデンスがある本を選ぶことです。本の巻末をめくってみて十分な参考文献が挙げられているようであれば、エビデンスを意識して書かれた良心的な本と言えるでしょう。逆に参考文献が一つも挙げられていないようであれば、独りよがりの空論である可能性が高いと言えます。

余談ではありますが、エビデンスがある情報をインターネットで得るには、英語版のGoogleで “evidence” の単語を加えて検索するのがおすすめです。日本ローカルな話題を除けば英語版Googleは日本語版よりも一次情報に辿り着きやすく、アフィリエイト系のブログではまず “evidence” の単語は使われません。

マネー本の類型

マネー本はさらにいくつかの類型があります。フォロワーが生まれて類型が形成されるということは根強いニーズがあり継続して売れる内容であるため、読んでおく価値があります。しかしながらどうしても似通った内容の本が多くなり、読むたびに得られる知識が漸減するため、各ジャンル数冊も読めば十分でしょう。

  • 著者が一財産を築いた投資手法を紹介する成功本。十分なエビデンスがあることはまれで、本当に有効な投資手法かじゃんけん大会の勝者かは自分で検証する必要があります。それでも、自分の投資手法を考えるヒントが得られる可能性はあります
  • インデックス投資本。効率的市場仮説を前提に、アクティブファンドや個別株投資を避けてインデックス投資を勧めるのが基本路線です。積立投資と組み合わせた提案も多く見られます
  • 財務諸表本。決算報告書の読み方の解説と、それに基づく企業分析を重視します。その延長がいわゆるファンダメンタルズ投資になります
  • 小説仕立てのマネー本風自己啓発本。経済とお金のことをよく知る不思議な人物 (まれに動物) がお金のことを考えたこともなく暮らし向きも豊かではない一般人に説教や遠回しなアドバイスをするというのが典型的です。読みやすいベストセラー本も多いので、マネー本が始めてという方が手を付けるのには良いかもしれません

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