運ゲー
運が大きく影響し、実力に関係なく勝敗が決まるゲームを俗に “運ゲー” といいます。”運ゲー” はもともとビデオゲームを評価するために生まれた言葉で、もっぱら賤称として用いられてきました。プレイヤーがいかにそのゲームに習熟しても簡単に初心者に負けてしまうわけですから、やり込もうと思わないのも当たり前です。
代表的な “運ゲー” として選択肢のないシンプルな双六やビンゴゲーム、ルーレットがあります。これらは完全な “運ゲー” であり、(イカサマを除けば) 技術が介在する余地はありません。ここまで極端ではなくとも運要素が大きいゲームを “運ゲー” と称することがあります。多くのカジノゲームや麻雀、パチンコは運の割合が大きく、これらを運ゲーと考えている人は多いでしょうが、ここではこれらを排除し、純粋に運だけで決まるゲームを “運ゲー” とします。
“運ゲー” の判定方法
そのゲームが運ゲーであるか否かを判定する簡単な方法があります。それは、”意図的に負けようとして負けられるか” を考えることです。
技術的な要素が強いゲームであれば、意図的に負けられることは明らかです。例えば、チェスや将棋のような極めて運要素が少ないゲームであれば、悪手を続ければ簡単に負けることができます。すなわち、これらは “運ゲー” ではありません。
運と技術の双方が絡むゲームでは、意図的に負けるのが難しい場合もあります。麻雀であれば意図的に振り込もうとしても相手が聴牌すらしてくれなければお手上げですし、パチンコであれば適当に打っていてもまぐれ当たりを完全に避けるのは困難です。それでも長時間にわたってプレイし続ければ、順当に負けることは可能でしょう。
対して、技術要素がない完全な “運ゲー” では、意図的に負けることが不可能です。双六を例に取れば、わざと負けようとしてもサイコロの目は思い通りになりません。ビンゴやルーレットで当たりを避ける方法もありません。プレイヤーは結果を完全にコントロールできず、負けたい時に負けることができません。これが “運ゲー” の特徴です。
意図的に負けることができないゲームが運ゲーであるならば、その逆もまた真です。すなわち、”意図的に負けようとして負けられないゲーム” は裏を返すと “意図的に勝とうとして勝てない” ゲームです。”運ゲー” では、プレイヤーがどれだけ最善を尽くしても、ランダムな要素のみが勝敗を決定します。
株式投資は “運ゲー” か
では、肝心の株式投資は “運ゲー” なのでしょうか。”意図的に負けようとして負けられるか” を考えてみましょう。
確実に負ける方法として最初に思いつくのが無駄に高い投資コストを払い続けることです。売買手数料でも信託報酬でも税金でも同じです。こうした無駄なコストを避ける技術という点では、株は “運ゲー” ではなく技術が介入するゲームと言えます。
しかしながら、投資銘柄の選択や投資タイミングの選択は “運ゲー” です。もしも意図的に負けようとして負けられるのであれば、その逆に張れば簡単に大儲けできます。オプション取引の発達した現代では、何らかの未来が予測できるのであれば、それを投資に置き換えて張ることは極めて容易です。
“運ゲー” にどう立ち向かうか
株式投資が “運ゲー” であると知ってしまえば、それに立ち向かうには難しいことではありません。期待値がプラスの “運ゲー” であれば無駄な考えはやめて単に試行回数を増やして結果を慣らすように心がけること、期待値がマイナスの “運ゲー” であればそもそもプレイしないことが最適な選択です。幸いにして株式投資は前者の期待値がプラスの “運ゲー” です。試行回数 (投資対象の銘柄数や投資期間) を最大化するべく、できるだけ広い銘柄を含んだインデックスファンドにできるだけ長期間投資をするというおなじみの結論が最適となります。