資産運用の出口戦略

資産運用の出口戦略

出口戦略の難しさ

資産運用はよく出口戦略が最も難しいと言われます。資産運用を始めるのは手元の資金を今すぐ投入するだけで済みますが、終わらせるためには考えなければいけないことが山積みです。

まずはどのタイミングで売却をするかです。特に積立投資をしていた方は毎月一定額を積み上げ続けてきたのでしょうから、タイミングよく売却をするといった経験がほとんどないはずです。一括で現金化するのではなく少しずつ取り崩す方法もありますが、これはこれでどの程度ずつ進めていくのかといった問いが残りますし、どの資産クラスから手を付けていくのかも考えなくてはいけません。

資産運用からは完全に手を引いて自分の余命を計算しながら取り崩していくとしても、どの程度マージンが必要かは答えのない問題です。またいつか機を見て参戦する予定の方は、そのタイミングも考えなくてはいけません。

自分の代で完結させるか、次代に引き継ぐか

資産運用の出口戦略を考える際に決断するべきことがあります。それは、自分の代で資産を完結させるか、次代に引き継ぐかです。配偶者や子供がなく予定もない方は自分の代で資産を使い切っても誰からも咎められないでしょうが、そうでない方は方針を決める必要があります。

自分の代で完結させると決めた方は死ぬ間際に全ての資産を使い切るのが理想ですが、寿命が分からない以上それは不可能です。明らかに過剰な資産形成は避けて人生のどこかで消費中心の段階に移行することが次善の策です。日本ではまだ一般的ではありませんが、リバースモーゲージもうまく活用できれば有効です。

一方、次代に引き継ぐと決めた方が考えるべきは、出口戦略ではなく節税と次世代の教育です。そもそも代々の資産家は、資産運用の出口戦略など考えていません。株式や不動産は買い増し続けて次世代に引き継ぐもので、それらを売らなければやりたいことができないようでは資産家とは言えません。この方針を取る場合は、自分の寿命などにこだわらずにひたすら資産を積み増し続けるのが最適解となります。

カネグリの出口戦略

先日、アーリーリタイア試算ツール カネグリを公開しました。これはリタイア後の資金繰りが破綻しないかを事前に検討するためのツールですが、そのシミュレーション方針は次代への引き継ぎに大きく寄っています。すなわち、どこかで消費段階に移行して寿命までに使い切ることを志向するのではなく、毎年決まった生活費で黙々と生活しながら余剰資産はすべて資産運用に回して次代に引き継ぐ思想です。次代に引き継ぐだけの資産があれば自分の寿命を勘定しながら長寿リスクに怯えることもありませんし、子孫が見事に資産家として花開かせたときに思いを馳せるのも愉快なものです。

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