様々な資産額

様々な資産額

シンプルな資産構成

特に資産家でもない普通のサラリーマン家庭に生まれた私は、就職した直後は当然ながらろくに貯金もない裸一貫の状態で、資産と言えるものは何一つありませんでした。わずかばかりのアルバイトの残金はありましたが、初任給までの繋ぎとしても心もとない程度の金額でした。それでも、就職先が借り上げワンルームマンションを準備してくれたこともあり、当面の生活はなんとかしのぐことができました。

この当初の資産管理はそれはシンプルなものでした。銀行口座にある残高がすべての金融資産で、あとは自分の労働力 (人的資本) がすべてでした。そんな状態から少しづついろいろな種類の資産を積み上げてきたわけですが、資産の構成も非常に単純で理解しやすいものでした。株式や債券を中心としたいわゆるペーパーアセットのみで資産を構成し、借金を伴うオプション取引をしない限りは、それらの資産の時価総額の合計がそのまま資産額です。株価も債券額も日々変動しますが、そのときの時価は明確に知ることができます。このシンプルな資産構成を続ける限りは、「現在の資産額は○○円です」と胸を張って言うことができ、紛れはありません。実際に私もこの時価総額を日々管理して自分の資産額を把握していました。

不動産購入に伴う資産構成の複雑化

ところが、このシンプルな資産構成を捨てなければいけないときがやってきます。不動産購入です。一生賃貸で過ごし、ペーパーアセットからの上がりを家賃に当てるのがもっともシンプルでわかりやすく、資産管理を容易にする方法なのですが、日本で一生それを続けるには様々な困難が伴います。一生独身やDINKSを貫くのならばまだしも、子供を持つとファミリー向けの賃貸市場がほぼ存在しないことに気が付きます。子育てに十分な広さのある賃貸物件は希少で、たまにあっても転勤族の定期借家や旧耐震の年代物の物件ばかりです。この状況で学区などの事情でエリアを限定すると、適当な賃貸を見つけるのは絶望的です。そうしてやむなく不動産購入となるわけですが、これは今まで避けてきた借り入れを発生させ、時価が不明でペーパーアセットのように簡単に換金できない資産を組み込むことを意味します。もちろん現金一括で購入すれば借り入れはなくすことができますが、たとえ十分な現金があっても借り入れをしないのは不利です。この点は稿を改めて説明します。

こうして借り入れをして不動産を購入して資産に組み込むと、単に時価総額を合計しただけの今までの管理だけでは資産の実態を把握することが困難になります。不動産の時価はそれなりに推定できたとしても、借金をどのように扱うべきかは目的により異なります。借金をすべて返して精算した場合の真水の資産額を知りたいのであれば借金分を減算するべきですが、手持ちの資産からの利回りを求めるのであれば借金分は一旦脇に置いておく方が便利です。

こうして複雑化した資産額を把握するため、私は以下の4つの資産額を併用して資産を管理しています。

資産総額

借金は一旦無視し、手持ちの資産の時価をすべて合計した金額です。バランスシートの借方に相当する部分です。不動産の正確な時価を求めるのは難しいのですが、資産の現状を大掴みする目的であれば購入時の金額を基準に建物部は耐用年数に応じて減額していく程度の概算で十分です。

この資産総額により、自分が利回りを生む資産をどれだけ持っているかを知ることができます。住宅用の不動産が利回りを生むというのに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、自分が自分に家賃を払っていると考えれば妥当です。

純資産額

資産総額から借入金を除いた金額です。バランスシートの純資産 (自己資本) に相当します。

この純資産額により、手持ちの資産をすべて処分し借金も返済した場合に最終的な手残りがいくらになるかを知ることができます。実際に資産を処分する際には手数料や税金が発生するため目減りしますが、資産の健全性を見るには十分です。この純資産額がマイナスになる場合は相当な危機感を持つべきです。

金融資産額

資産総額から不動産の時価が占める部分を除いた金額です。バランスシートの流動資産に (ほぼ) 相当します。

この金融資産額により、必要に応じて柔軟に資産構成を組み替えられる余地を知ることができます。健全性を見るための純資産額に対し、こちらは柔軟性を示しているとも言えます。この金額が不足すると、急な出費が生じた場合に耐えられず、不本意な不動産の売却や不利な条件での借金を強いられるリスクも高まります。

純金融資産額

純資産額から不動産の時価を除いた金額です。金融資産額から借入金を除いた金額とも言えます。

有名な富裕層の定義で用いられている資産額はこの金額です。もともと富裕層の定義はマーケティング上の都合で決められたものですが、この純金融資産が多い人は様々な金融商品に投資する余力があり、営業をかける価値があるとみなされます。

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