上がり成りという生き方
ジャガーというタレントをご存知でしょうか。千葉を中心に活躍中のローカルタレントですが、それ以外の地方ではご存知ない方も多いかもしれません。
ジャガーのタレントとしての特異なところは、その『上がり成り』という生き方にあります (余談ですが、この『上がり成り』はみうらじゅんの命名とされています)。1978年に自伝『成り上がり』を出版した矢沢永吉は音楽で成り上がることで資産を築き上げましたが、ジャガーは逆にビジネスで資産を築いた後にタレントとして名を上げました。テレビの放送枠を買い取って自らの番組を放映するなど、資産を活かしたプロモーションも行っています。
矢沢永吉と同様に音楽や芸能で成り上がった例は多数ありますが、ジャガーのように上がり成りを成し遂げるのはまれです。ビジネスで財を築いた人はそのビジネスですでに名が売れていることも多いでしょうし、売名はリスクを高めると考えている人も多いでしょう。税金対策としても、あまり効率的ではありません。
それでも、資産を上手く活用すればいつでも承認欲求を満たせるということは知っておいて損はありません。
金と暇を活かす道楽
金と暇があっても、仕事をしていないと世間体が、という方もいらっしゃるかと思います。 しかし、金と暇があれば、そのあたりを取り繕うのはさほど難しいことではありません。
いつ行っても客が入っていないのに潰れない不思議な店舗を見たことがありませんか。もちろん中には店頭販売以外で大きな利益を出している店舗もありますが、世間体を保ったり暇つぶしをするのが主目的な店舗もたくさんあります。
十分な資産はあるけれど社会的な地位がなくて不便という方や、承認欲求が十分に満たせていないと感じる方は、適当なビジネスをしている体裁を整えるのも一つの手です。思い入れのある趣味がある方は道楽のお店を立ち上げるのも良いかも知れません。実店鋪を立ち上げるのが面倒であれば、自宅を事務所にして形だけの法人を立ち上げて社長に納まるのも良いでしょう。今どきは会社の立ち上げや年間の維持費も知れたものです。IT系の仕事と言い張っていれば、それ以上中身に突っ込んでくる人もいません。
新聞社の生き方
実は個人ではなく大企業でも同じような『上がり成り』の状態になっている例があります。その代表が新聞社です。
インターネットの普及に伴い新聞事業が圧迫されていると言われて久しいのですが、それでも日本の新聞社はなかなか潰れる気配がありません。その理由の一つが、彼らの持つ優良な不動産の稼ぎ出すキャッシュです。財務諸表を見ると明らかですが、すでに利益の大半を賃貸事業が稼ぎ出しており、新聞事業はコストセンターになりつつあります。
このように、本業の不動産事業で稼ぎつつ対外的には文化的な香りのする新聞事業を道楽で続けるのは、ある意味で理想的な生き方です。もちろん、公器を名乗る新聞事業が国有地の払い下げなどで得た不動産からの利益で道楽に走るのには批判もあるかと思います。しかし、個人が真っ当な方法で築いた資産で道楽に生きるのは、一つの理想形と言えます。