最近の人工知能 (Artificial Intelligence; AI) の発展は目覚ましいもので、特にChatGPTには脅威を覚えている方も多いものと思います。識者たちの意見を見ても、AIが社会を変え、人間の仕事を奪うのではないかとの悲観論が飛び交っています。特に、事務職やライター、士業などの専門職は “なくなる職業” とみなされることも多く、それらの職に就いている方は気が気でないかもしれません。自動電話交換機が電話交換手の仕事を奪い、DTPが植字工を駆逐したように、おそらくAIが多くの職業を過去のものにしてしまうのは間違いがないでしょう (それを実現するのがGPTか別のモデルかはわかりませんが)。
では、それらの “なくなる職業” に就いている人はどのように対策をすれば良いのでしょうか。この対策も様々な議論がなされていますが、総じて言うとAIにできない仕事や不向きな仕事を探したり、AIをうまく使う側に回ったりといった対抗策が論じられていることが多いようです。この種のAIにできない仕事として、営業職やカウンセラー、コンサルタント、接客業といった人に接する仕事がよく挙がりますが、それらの感情労働は向き不向きの部分も大きく、また多大なストレスに晒される仕事でもあり、誰にでもおすすめできるものではありません。
こうした仕事の他にもう一つ、決してAIに奪われることがなく、対人ストレスとも無縁な仕事があります。それが投資家です。AIがどんなに進歩し多くの人の仕事を奪ったとしても、そのAIを作り改良していくための資金需要は決してなくなることがありません。もちろん、AIが投資対象の分析をさらに推し進め投資手法を洗練させていくことは間違いありませんが (すでに目端が利く人は取り組んでいます)、AIが資金を出してくれるわけではありません。
将来AIに仕事を奪われることを恐れるのならば、その前に十分な試算を構築し、AIを作る人々に投資する側に回るのが一番の対抗策ではないでしょうか。