何に投資しているのかを自覚する

何に投資しているのかを自覚する

利益の源泉は何か

世の中には、さまざまな投資対象があります。株式、債権、不動産、ゴールドなどの伝統的なものに加え、最近では暗号資産やソーシャルレンディングも投資対象として扱われています。いずれもリターンを期待して投資する点は同じですが、中身は全く異なるものです。ここで中身と言っているのは、表面上のリスク (ボラティリティ) の大きさや期待値のことだけではありません。 もう少し根源的な 、その利益の源泉がどこにあるかです。

利益の源泉がどこにあるかを知っても、即座に億万長者になれるわけではありません。しかしこれを意識することで、危険な投資の多くを避けることができます。自分の投資スタイルを見つめ直し、新たな投資のヒントを見つけることにも繋がります。

株式投資手法を利益の源泉で分類する

株式と一口に言っても、その投資方法はさまざまです。投資期間だけを見ても、長期投資、スイングトレード、デイトレード、スキャルピングなど、多くの手法があります。その他に、ファンダメンタルズ分析をはじめとする分析手法、どの市場に投資するかの市場選択などを加味していくと、それこそ無数の方法が考えられます。ここではこれらの無数の株式投資手法を利益の源泉という切り口で分類します。

市場の成長に賭けることは有力な戦略です。投資である長期分散投資は、まさにこの市場の成長に投資することに他なりません。市場の成長に賭けることは、換言すると成長を義務付けられた資本主義の仕組みに賭けることです。今後も企業間の激しい競争により市場経済が成長し続けると信じるのであれば、また後述する他の要素を極力排除したいのならば、この長期分散投資に全力を注ぎ込むのが賢い投資です。これはベータ戦略とも呼ばれます。

自分が他の市場参加者より賢いことに賭ける戦略があります。他の市場参加者がその価値に気づいていない銘柄にいち早く投資することで、市場の成長に加えて超過利益を得ることができます。絞り込んだ銘柄への集中投資はまさにこの戦略を具現化したもので、成功を収めればウォーレン・バフェットのように巨万の富を築くことができます。デイトレードの類も、期間の長短の差はあるものの本質的にはこの戦略に含まれます。これらはまとめてアルファ戦略とも呼ばれます。この戦略の問題点は、自分の賢さを正しく把握することの難しさにあります。優越の錯覚に代表されるように、人間には自分の能力を過信するバイアスがあることを忘れてはいけません。

自分の運の良さに賭ける戦略もあります。自分の運に自信があれば、宝くじ気分で銘柄を選ぶのも楽しいものです。テクニカル分析はこの戦略の代表で、選択の際の味付けの絶妙さから根強い人気があります。完全にランダムで選ぶよりも一工夫入れることで楽しさが大きく増すことは、パワーボールの人気が証明しています。

その他の投資の利益の源泉

株式以外の投資も同様に、利益の源泉がどこにあるかを理解して投資することが危険な投資を避けることに繋がります。

債権への投資は、投資先が破綻しないことに賭けています。国債は国が、社債は会社が、それぞれ破綻しないことだけが重要で、成長の有無は無関係です。最近流行のソーシャルレンディングも投資先が破綻しないことに賭けています。

不動産への投資も、株式と同様に投資方法によって何に賭けているかが異なります。分散投資のREITは対象地域の成長に賭けていますし、特定の物件を購入するのであれば加えて自分の目利き力が他の不動産業者よりも優れていることに賭けています。

ゴールドや暗号資産は世界中の人々の共同幻想が弾けずに膨らみ続けることに賭けています。いずれも直接的に価値を生み出さない以上、人々が価値があると信じていることがその利益の源泉です。とはいえゴールドは、改竄が難しいこと、長年の歴史を耐え抜いてきていること、産業的な価値もあることなどから、その信心が一夜にして消え去る可能性は低そうです。

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