人生の優先順位

人生の優先順位

ちょっと待て! その仕事と返事。

少し前に「宇宙人類学の第一人者の研究室にて見つけたありがたいお言葉」と題したツイートが話題になりました。非常に含蓄の深い写真です。

この教授のようにきちんと自分の人生の優先順位をつけている人は少数です。頼みごとをされること、すなわち他人から必要とされることはそれ自体が快感ですから、来る仕事を片っ端から受けてしまう気持ちはわかります。またこのご時世では、仕事を断ってばかりいると立場が危ういという人も多いでしょう (資産が十分にあれば興味のない仕事を断れることは別の記事に書きました)。それでも、頼まれごとを無自覚に引き受けてしまうことは、他人に人生を委ねていることと同義です。気持ちを鬼にして自分の時間を作り出さなければいけません。

かく言う私も、若い時分はついつい頼み事を引き受けてしまう性分でした。特に新入社員の頃は名指しで仕事が来ること自体に快感を覚えていたこともあり、またなまじ小器用で大概の業務を捌けたこともあり、気がつけば大量の業務を抱えていました。しかしある日、自分のやりたい研究に割ける時間がほとんど残っていないことに気づいてしまったのです。

最高の人生の見つけ方

『最高の人生の見つけ方』という2007年公開のアメリカ映画があります。翻案された邦画が 2019年10月に公開されていますので、そちらを思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。この映画の原題は “The Bucket List” で、余命宣告を受けた二人の男が、死ぬ (kick the bucket) までに実現したいことを棺桶リスト (the bucket list) として実行していくという筋書きです。この映画でも余命宣告を受けるという舞台装置を必要としているように、人は切羽詰まるまで本当にやりたいことを自覚するのは難しいものです。それでも、人生の優先順位をつけていく作業は充実した自分の人生を送る上で欠かせません。前述の教授のように優先順位の低い頼まれ仕事を切り捨てていくことで、はじめて自分の人生を主体的に生きることができます。

棺桶リストを作ることは、人生の優先順位をつけるために非常に効果的な方法です。私も棺桶リストを作成し、週に一度は読み返しています。おそらくこの棺桶リストなしでは、他人に流される人生を送ってしまっていたでしょう。

棺桶リストの作り方

棺桶リストの作り方はさほど難しいものではありません。特に決まった型もなく、自分が死ぬまでにやりたいことを書き出していくだけです。とはいえ少々のコツはありますので、自分が棺桶リストを作成した際の経験に基づき少しだけ助言をします。

  • 死ぬ間際を想像し、「ああ、これをやれば良かった」と後悔しそうなものはすべて書き出してください
  • 頭の中で漠然と思い浮かべるのではなく、必ず書き出してください。紙でもPCでもスマートフォンでも構いません。何らかの方法で書き出すことで、はじめて具体的な目標として整理され、自覚できます
  • お金や時間の制約は考えず、やってみたいことをすべて書き出してください
  • 難しいことや大きな夢だけを書く必要はありません。今日からできることを書いても一向に構いません。私の棺桶リストにも、徒歩で日本縦断といった困難なものから、Netflixのマイリストに溜まった映画を消費するといった今日のスキマ時間にできることまで、様々なものが並んでいます
  • 件数にこだわらず、思いつくものはすべて書き出してください。私の棺桶リストには100件を大きく越える項目があります
  • 一度にすべてを書き出す必要はありません。一旦思いつくものを書き出した後、定期的に見直してメンテンナンスをしていくのも完成度を高める方法です

こうして作成した棺桶リストがあなたの人生を主体的なものに変えていくことを願っています。

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