インデックスファンドの知見が広まった現在、適切な投資は非常に簡潔なものとなりました。すなわち、取れるリスクの分だけ適切なインデックスファンドを買い、残りは現金ないし債権で持つというものです。この原則は、どんなに資産の額が大きくなろうとも変わることはありません。
しかしながら、往々にして株式の値動きが良くないと余計なことをしたくなるものです。より魅力的に見えるたまたま最近好調なファンドに手を出したり、長期的には株式に負けているゴールドを組み入れたり、政治的なリスクの高い暗号資産に資金を注ぎ込んだり、といったところが典型的です。
逆に資産が調子良く予想以上に増えてくると、今度は結構な額を株式に投資していることに気が付き、恐怖することになります。取れるリスクからみて適切な額を投資しているにも関わらず、ここで恐怖に負けて投資を減らすと、これも不本意な利回りの低下を招くことになります。
資産運用で長期的な成功を収めるには、こうした投資額 (レート) に惑わされず、一貫した戦略で投資を継続することが欠かせません。
麻雀における「どのレートでも同じ打ち方ができる人」
麻雀に代表される様々なギャンブルゲームでも、ゲームの賭け金 (レート) で打ち方が変わる人がいます。低レートの場ではのびのびとリラックスして適切な打牌ができる人が、高レートとなると押すべきところで日和って期待値を下げることは珍しくありません。俗に言う、レートに殺されるという現象です。強い打ち手は例外なく、レートに左右されず、粛々と最善手を重ねる同じ打ち方を貫いています。これは単なる技術の問題ではなく、メンタルの強さや高レートの経験によるものです。
株式投資でも同じ
株式投資でも、麻雀と同じ原則が当てはまります。資産額が増えた (レートが上がった) といって、過度にリスクを減らして守りに入ることは期待値を下げる行為に他なりません。もちろん逆に資産額が減ったからといってリスクを増やすのも非合理的です。どのような市場環境でも自分の投資原則を守り計画的に行動する人、すなわち「どのレートでも同じ打ち方ができる人」こそが長期的に成功する投資家となれるのです。