本当に欲しかったもの
突然ですが、私が人生で本当に得たいと考えていたのは以下のものでした。
- 日がな本を読んでいられる生活
- 十分な睡眠が取れる健康的な生活
- 家族と過ごせる十分な時間
- 自分の技術を磨き、生かして真っ当に社会に還元できる職
- お金に困らない暮らし
- 書斎のある住まい
そして幸いなことに、今はこれらを手にしています。
もちろんこれらは何もせずに棚ぼたで得たわけではなく、相応のコストを払った上でいくばくかの幸運に恵まれた結果です。また、これらを手にするために意図的にあまり一般的ではない人生の選択肢をとったこともあります。具体的には以下のような方法でこれらを手に入れました。
まず、読書時間、睡眠時間、家族との時間を確保するため、自分の裁量で仕事ができる研究職を選んでいます。もちろん、研究職に就くには相応の技術や努力が求められ、就いたあともコンスタントに成果を出し続けることが求められます。しかし、成果さえ出していれば時間の調整が付きやすく、さらに勤務中に (多少なりとも研究と関係があれば) 読書をしていても咎められることがないのがありがたいところでした。〆切間際には夜遅くまで仕事をせざるを得ないこともありますが、普段は概ね十分な睡眠を取る規則正しい生活が送れるものです。また研究職は海外とのやりとりが多いせいか、家族優先の風潮があるのも見逃せません。さらに、自分の技術で出した成果が社会に還元できるという点は他の職業にはない魅力です。
しかし、研究職の数少ない難点は特別収入が良いわけではないところです。同じ専門職でも、コンサルティングや金融系などに比べると収入が一段落ちるのが現実です。研究職に就く多くの人々は、それでも自分の好きな研究ができるのならと妥協している現実があります。しかし私はお金には困らない暮らしをしたいという強い思いを持っていました。特別に豪華絢爛な暮らしをしたいわけではなかったのですが、お金に煩わされる生活は避けたかったのです。さらに、好きな本を買い集めるのに加え、書庫と書斎のある暮らしは確保したいという思いがありました。そこで辿り着いたのが倹約と投資により、追加の収入を得ることでした。相応の時間と集中力を必要としたものの、幸いにして投資は十分な利益を得るに至り、今では研究職としての収入に頼ることなく生活ができています。
こうして振り返ると、本当に欲しい物を手に入れるために大きなコストを払ってきたものと自分でも思います。
あまり興味がなかったもの
ここまで書くと順風満帆な人生を送っているように見えますが、逆に手にしていないものもたくさんあります。中には、世間一般で価値があるとされているものもあります。
例えば、私は特にサラリーマンとしての出世はしていませんし、これからもすることはないでしょう。研究職といういわば出世街道を外れた道を歩き、さらに自分の興味ある分野の研究や読書、睡眠、家族を優先してきたのですから当然のことです。
他にも、特に社会的地位やステータスがあるわけでもなく、高級車のひとつも持っていません (買おうと思えば買えるだけのお金はありますが)。交友関係もさほど広いわけではなく、家族以外に普段からお付き合いがある人は数えるほどです。
ただし、これらは手に入れられなかったというよりは、興味を持てず、故にコストも払わなかったというのが正確なところです。仮にこれらに多くのコストを払ったせいで上に挙げた本当に欲しかったものをいくつか取りこぼしていたのではないかと考えると、後悔はありません