金と暇への第一歩は労働

金と暇への第一歩は労働

効率の良い労働

あなたが裕福な家庭に生まれたのではない限り、まとまった資産を作るのに労働は避けて通れません。ましてや人生の早い段階で十分な金と暇を確保するには、効率の良い労働を選ぶ必要があります。

ここで効率が良いとは、拘束時間や負担に比して総収入が高いという意味です。どんなに給与が良く見えても、毎日15時間も拘束されるようなブラック企業では効率が良いとは言えません。負担というものは個人の適正による差が大きいために一概に言いにくいのですが、苦痛にならない仕事を選ぶと考えれば大きな間違いはありません。苦痛が大きい仕事では、長期に渡って着々と資産を積み上げてくのは難しいものです。

自己実現と労働の両立は慎重に

ここまで効率の良い労働をと述べてきましたが、実は就職を控えた時分の私は自己実現と労働を両立させるという面倒を背負い込んでいました。何の因果か、資産を作るという意味ではさほど効率の良くない研究職を志していたものですから、その職選びには慎重を期しました。一生研究だけできれば、不安定で暇も金もない人生でも良いと割り切れるだけの覚悟がなかったのです。もう少し正直に申し上げますと、好きな研究をしながら、若いうちに十分な資産も作り上げたいという虫の良いことを考えていたのです。

そうした視点で就職を考えますと、いわゆるアカデミックポストの多くは不適切であることに気付きます。例えば大学の教授職などは比較的高待遇ですが、若いうちはポスドクとして低賃金労働に甘んじる必要があります。公的研究機関は新卒の募集が極めて少なく、現実的な 選択肢ではありません。となると、企業の研究所が数少ない有力な選択肢となります。研究所を持っている企業の多くは大企業で、かつ研究職採用でも本社人事部門を通すことが多いため、必然的に大企業の新卒採用向きの能力をある程度備えておく必要が生じます。具体的には、決定権を持つ人の心象を良くする対人能力、履歴書映えする資格、 面接受けする最低限の身だしなみなどです。これらは研究職に求められる能力とは関係が薄いものの、必要経費として割り切って準備しました。幸いにして、希望していた研究所の一つに潜り込み、研究者としての生活をスタートすることができました。

客観的に見て、かなり恵まれている待遇であったかと思います。給与は外資系企業やコンサルタントには遠く及ばないものの、一般的な大企業としては悪くない水準でした。古い物件ながらも新卒者向けの借り上げ社宅があり、生活費を大きく圧縮することができました。その代償として拘束時間はやや長めであり、研究以外の雑務に取られる時間も馬鹿にならないものでしたが、事前に想定していた範囲内ではありました。田舎に置かれるのが常の研究所という特性から、職住近接により通勤に時間が食われなかったのも好都合でした。

こうして得た収入をコツコツと蓄えながら、金と暇のある暮らしへ向けたスタートを切りました。

職選びの方法

研究など特定の仕事に興味がない場合は、やはり労働の効率を比較して職を選ぶのが良いでしょう。どんな仕事であっても続けるうちに愛着は湧いてくるものですが、一従業員が労働条件を大きく改善することは困難です。特に給与や福利厚生は、よほど小さな会社でもない限り入社後に改善することは不可能です。

比較の際に注意するべきは、実質的な可処分所得や可処分時間が最大となることを重視するべきということです。額面上の給与は高くとも、残業代や福利厚生、さまざまな役得を換算すると、可処分所得はさほどではないということはよくある話です。特に、住宅補助を始めとする各種補助は積み重なると大きな差となります。また務める期間を考え、退職予定までの給与総額を考慮することも大切です。入社直後は条件が良くともその後まったく昇給がない会社、逆に若いうちの昇給が抑えられ高齢にならないと元がとれないような会社は、金と暇を確保するという視点からは避けた方が無難です。特に後者は将来的に業績が不振となった際に約束が反故にされるリスクもあります。

もしも私が研究職を志しておらず生活の糧としての仕事を求める立場であったなら、 無名であっても高い参入障壁がある分野で高い利益率を維持し、従業員への還元を重視している企業を選択をしていたものと思います。

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