多くの知り合いは相談相手として不適切
お金の話を相談できる相手というのは意外に少ないものです。細かな節約術程度ならば世間話の延長でできるかもしれませんが、長期的な視点での資産構築やまとまったお金の運用方法を相談できる相手は非常に限られています。もしもすでに適切な相談相手がいる人は、その出会いを大切にしてください。
富裕層の家庭に生まれたのであれば両親へ相談したり適切な専門家を紹介してもらえるかもしれませんが、庶民出身にはなかなか難しいものです。私の両親は立派な人間であり尊敬もしていますが、残念ながらお金に関する知識は不十分です。「サラ金で借りてはいけない」、「連帯保証人になってはいけない」といったお金に関する非常に重要な知恵を授けてはくれましたが、早期にまとまった資産を作る方法を学び取ることはできませんでした。両親は若くにローンを組んで家を買い、粛々と返済をしてきました。投資の類には手を出さず、貯金を銀行口座に積み上げています。積極的な資産運用の相談をしても、真面目に額に汗して働くように諭されるだけでしょう。
職場の同僚とは、いくら親しくともお金の話はしにくいものです。お互い給与の額くらいは見当がついているかもしれませんが、消費スタイルやお金に対する考え方は外面からは案外わからないものです。まだまだお金に関しては保守的な方も多く、そういった人々に相談を持ちかけても有益な会話にはなりません。それどころか、相談相手を間違えると良からぬ噂を立てられる危険まであります。また仕事のできるできないと適切なお金の知識の有無はあまり相関がなく、その意味でも相談できる適切な相手を探すのは困難です。
銀行や証券会社も相談相手としては不適切です。窓口に相談に行っても、彼らのノルマとなっている金融商品を売りつけられるだけです。彼らには顧客を安全に設けさせるインセンティブがないことに留意しなければいけません。
ファイナンシャルプランナーはその名前から一見お金の相談に適しているように見えますが、実は大きなお金の運用などを相談するのには不適切です。独立系ファイナンシャルプランナーをうたってはいても、実態は保険販売を生業にしている方が多いものです。相談料を徴収する場合は保険を売りつけられるリスクは減りますが、せいぜい吊るしのライフプランと皮算用のキャッシュフローを見せてくれるくらいです。本気で金と暇のある生活を送りたいと願って相談しても、それを実現するどころか想像したこともないファイナンシャルプランナーからは現実的なアドバイスは得られません。
最近はお金をテーマにしたセミナーも多くありますが、これも玉石混交です。様々な詐欺や怪しい商売に巻き込まれるリスクを考えると得策とは言えません。ネットで有名な自称お金持ちがセミナーを開いているケースもありますが、その内情を事前に知るのは困難です。
良書で自習しかない
こうして考えると、お金のことを相談できる相手は本当に少ないことに気付きます。となると、良書を選んでぶつかり稽古を繰り返す以外にありません。
書店へお金に関する本を探しに行くと、派手なタイトルの本が売り場の多くを占めています。セミナーへ誘導するためのパンフレット代わりの書籍も珍しくありません。これらの中から、きちんとした良書だけを選別して血と肉となるまで繰り返し読む必要があります。ある程度冊数を重ねていくと良書の判別がつくようになりますが、それまでは以下のような基準で選別するのが良いでしょう。
- 派手な煽り文句 (たった○年で△億円の資産を作ったなど) の本は避ける
- セミナーへ誘導している本は避ける
- 著者自身の体験を書くだけではなく、客観的な事実を扱っている本を選ぶ
- 新刊は避け、版を重ねて読みつがれている本を選ぶ (心ある良書はロングセラーとなる傾向にあります)
みなさんが一生の相談相手とできるような一冊に出会えることを祈っています。