優良な投資先と優良な勤務先

優良な投資先と優良な勤務先

優良企業はバズワード

どこそこの企業は優良企業だと言われることがありますが、その定義は曖昧です。また、その優良が誰にとっての優良なのかということはあまり議論されません。その意味では、優良企業という言葉はバズワードとも言えます。

エクセレント・カンパニーというベストセラーとなったビジネス本があります。ここで取り上げられた企業が優良企業とされたこともありましたが、出版後に多くのエクセレント・カンパニーが神通力を失ってしまいました。

誰にとっての優良企業?

それでも優良企業と呼ばれるための最大公約数的な条件を強いて挙げると、以下のようなものになるかと思います。

  • 利益率が高い企業
  • 成長率が高く、将来性の見込める企業
  • 特定の業種で支配的な地位にあり、経営が安定している企業
  • 従業員の忠誠心が高く、離職率が低い企業
  • 労働基準関係法令を遵守するホワイト企業
  • 優れた製品やサービスを低価格で提供している企業

これらの条件を見てみると、視点が異なるものが混在していることに気が付きます。すなわち、投資先として優れた企業、勤務先として優れた企業、利用者から見て優れた企業、の三つです。このすべての観点で優れた企業は多くありません。

利益率や将来性、安定した経営は、いずれも投資家視点からは非常に重要な要素です。投資したお金がきちんと利益を生み出して戻ってくるかは、これらの要素に大きく依存しているためです。一方で、勤務先としてみた場合の重要性は一段劣ります。たとえ大きな利益を生み出していても、それが従業員に還元されるかは企業によって大きく異なります。利用者が製品を購入する際にその製造元の安定性を気にする必要があるのは、長期のサポートが必要な製品くらいです。ボールペンを買うのに製造元の経営を気にする人はいません。

離職率や企業のホワイトさは、勤務先としては非常に重要です。これらは生活の質に直結しますし、軽視すると最悪の場合は心身を蝕むことにもなりかねません。しかしながら、投資先としてみるとこれらは単にリスク要因の一つに過ぎません。人がどんどん入れ替わるような企業であっても、きちんと利益を出しているのであれば許容できることも多いでしょう。最近では道徳を重視するエシカル消費を実践している人もいますが、そうでない利用者には無関係です。

製品やサービスの質や価格は利用者にとっては最重要事項です。買い物の際にはたとえ無意識でもコストパフォーマンスを意識しているはずです。一方で投資先としてみると、製品やサービスの質や価格は単に利益を生み出すための一つの要素となります。従業員としても、その商材の売りやすさの形で間接的に影響しているに過ぎません。

金と暇のためには、企業を使い分ける

金と暇を確保するためには、さまざまな優良企業が誰にとっての優良企業であるかを考え、戦略的に活用しなければいけません。

投資先としては今一つで製品に魅力がなくとも従業員にとって魅力的な優良企業に務めることで、効率的に種銭を積み上げることができるはずです。積み上げた種銭は、従業員には厳しくとも高い利益を生み出し株主に還元する企業に投資しなければいけません。もちろん、一消費者として買い物をする際には、企業の名声やイメージに惑わされずに製品やサービスの質を見極めるべきです。

このように誰にとっての優良企業であるかを考えた上できちんと使い分けることで、金と暇のある生活に着実に近づくことができます。

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