働くためのコストと純益

働くためのコストと純益

働くためのコスト

当たり前の様にサラリーマンとして働いていると気づきにくいものですが、サラリーマンとして働くのには相応のコストがかかっています。収支を正しく計算するためには、このコストをきちんと把握する必要があります。額面の収入が多くとも手残りが少ない場合は、このコストが意外にかさんでいるのかもしれません。

この働くためのコストを把握することは、リタイア後にどれだけの生活費が必要かを試算する上でも重要です。特にアーリーリタイアを志向している場合、サラリーマンを辞める際に失う収入からコスト分を差し引くことができます。

税金と社会保険料

税金と社会保険料は見えやすいコストのため、意識している方も多いでしょう。いわゆる額面と手取りの差額です。税金 (のうち、所得税と住民税) と社会保険料は、サラリーマンとしての収入がなくなれば大幅に圧縮できるため、実質的には働くためのコストと言えます。これらのコストは合法的に削減することが難しく、かつ年々増加傾向にあるため、サラリーマンの魅力を減じています。また所得税は累進性があるため、サラリーマンとして高給取りであってもその手取りは案外少ないものです。

リタイア後の生活費の試算をする際には、税金や社会保険料のコストがなくなるだけではなく、新たに生まれる低税率な総合課税枠を活用する節税も可能となります。一例を挙げると、上場株式等の配当所得や譲渡所得に課せられる住民税を総合課税として申告する節税の余地が生まれます。

スーツなどの服飾費

職種によって差が大きいのですが、スーツを着なければいけない場合はそのコストがかかります。一般にスーツや革靴は支給品ではなく自腹での購入となり、その上経費として処理できないためです (厳密には特定支出控除の勤務必要経費に含まれますが、控除額を超えるほどの経費を使っている人はほとんどいません)。革靴や腕時計といった小物も馬鹿になりません。着道楽でない限り、これらは働くためのコストと言えます。

住居費

都心のオフィスに努めながら職住近接を実現している場合は、その住居費も馬鹿にならないはずです。たとえ住宅補助などの福利厚生があったとしても、都心に住むコストと比べると焼け石に水です。最近は職場の近くに住むことで手当を出す企業もあるようですが、まだまだ少数派です。サラリーマンとしての勤めさえなければ、住む場所はもっと自由に選択でき、コストを大幅に圧縮することも可能になるはずです。その差額は、働くためのコストです。

ピーク時に行動するコスト

サラリーマンとして働いていると、長い休みはお盆や年末年始くらいという方も多いはずです。その期間は当然旅費も宿泊費も一年の間でピークのため、家族揃って旅行に行こうものなら驚くほどのコストがかかります。ほんの1週間ずらすだけで半額以下となることも珍しくありません。これも、サラリーマンとして働いているために生じている隠れたコストと言えます。

同様のコストはまだまだあります。お得な切符が一切使えないラッシュアワーに通勤しているのも立派なコストです。ランチひとつとってもピークを少しずらすとおまけがつくお店はたくさんありますし、ハッピーアワーを導入している居酒屋も少なくありません。ひとつひとつは小さいコストですが、積み上げてみると結構な額になることに驚くはずです。

純益を考える

ここまで述べたようなコストを洗い出してみると、サラリーマンとして働くのは意外にコスト高であることに気が付きます。また、ここでは金銭的なコストに絞って述べてきましたが、時間的なコストや体力的なコストまで考慮すると、そのコストはさらに高く付きます。これらをすべて計算した上で純益を計算してみると、今までとは違った風景が見えてくるはずです。

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